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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 削除記録 - Wikipedia の復刻版

オールドタイプ犬種(英:Old Type Dogbreed)とは、犬の品種のうち、オリジナルのタイプや昔のタイプの犬種を復活させて出来た犬種のグループ名(犬種群名)のことである。


歴史や概要

世界的にこの犬種群の作出が行われるようになったのは2000年ごろのことで(それ以前から作出が行われていたものもある)、アメリカ合衆国で興ったプードル・ハイブリッドブームに取って代わるようにして、静かに流行が始まった。
現代多くの犬種はペットやショードッグとして使われるようになり、能力よりも外見を重視したブリーディングが進められた。これはその犬種の容姿の魅力を引き出すのに大いに役立ったが、その反面、一部の犬種はショードッグとして特徴を誇張し過ぎ、近親交配や同系交配(兄弟間での交配)、戻し交配、乱繁殖などのし過ぎによって、重大な健康被害を受けるようになってしまった(イングリッシュ・ブルドッグやパグ、ブリュッセル・グリフォンなど)。
そこで、近年ショードッグとして改良される以前の、かつて存在していた原種(つまりオールドタイプ)のことが注目されるようになった。犬の品種における原種はやや容姿にばらつきがあったり、特徴が現代のものに比べてそれほど顕著でないものが多い。然し、健康的にはほぼ全ての原種が健全で、現代のものよりも遺伝的にかかりやすい病気が少なかった。これは先にも述べたように外見よりも能力や健康性を重視した繁殖が行われていたからで、健康的に問題のある犬は繁殖から徹底的に除外されていたことが理由である。
オールドタイプ犬種は、その原種の健康性にあこがれて、現代の犬の品種の一部を原種に戻すために復元を行い、原種を再構成した復刻版の犬種である。多くの種類は犬の健康面に重点を置いて復元が行われ、慎重で複雑なブリーディング計画を立てて行うことで作出される。尚、原種が獰猛性を持っていた場合、性格面についてはそれを取り除くものと、番犬として使うために残しておくものがある。
現在オールドタイプ犬種は世界中でざっと50種(2008年時点)程存在するといわれているが、ブリーディングが失敗して消滅するものと、新たに作出が開始されるものとの入れ替わりが激しい面があり、はっきりとした総数は不詳である。又、ほぼ全てのオールドタイプ犬種がケネルクラブやFCI未公認の犬種である。まだブリーディング歴が浅く、犬種として安定すればこれらに公認登録への申請が行われる可能性もある。日本でも海外から輸入されたオールドタイプ犬種の飼育が行われているが、その数もはっきりと分かっていない。
尚、この流行と同時に、ショードッグやペットの犬の健康を見直す動きも世界的に高まっていて、スタンダード(犬種基準)の改正が計られている犬種も現れ始めた。そのうちで最も有名なものはイングリッシュ・ブルドッグで、アメリカなどのケネルクラブでのスタンダードがスリムな体型でたるみが少なく、頭部の小さめのものに改正された。このことはマスメディアに注目され、テレビなどでも大きく報じられた。この他、ジャパンケネルクラブではプードル、ダックスフント、ワイマラナー、サルーキー、ペルービアン・ヘアレス・ドッグなどのスタンダードの変更が行われた。

オールドタイプ犬種のリスト

  • ここでは現代の犬種に、どのようなオールドタイプ犬種が存在するのかをリストする。
  • その犬種に詳細は、それぞれの項目を参照。
  • イングリッシュ・ブルドッグ - オールディ・イングリッシュ・ブルドッグス(英:Olde English Bulldogge)
    オールディ・イングリッシュ・ブルドッグスは、かつてブル・バイティング(牛いじめ)に用いられていたイングリッシュ・ブルドッグの原種、オールド・イングリッシュ・ブルドッグを復元し、健康を取り戻す目的で作出されたものである。オールディ種は特定の犬種名ではなく、オールド・イングリッシュ・ブルドッグを復元した犬種のことを指す、いわゆるグループ名のことである。これは多くの犬種が存在するが、その中でもリービッド・オールディ・イングリッシュ・ブルドッグが最も有名である。これ以外にもおよそ20種類ほどのオールディ種が存在するといわれているが、どの種も自然分娩が出来、呼吸器関連の疾患などにかかりにくくなり、運動することが大好きな活発な犬種である。ちなみに、オールド(Old English Bulldog)種とオールディ種(Olde English Bulldogge)では、スペルが微妙に異なっていることにも注目。
  • キング・チャールズ・スパニエル - キャバリア・キングチャールズ・スパニエル(英:Cavalier King Charles Spaniel)
    キャバリアは世界最古のオールドタイプ犬種で、その中で唯一のFCI公認犬種である。キング・チャールズ・スパニエルのマズルを長くし、りりしい顔立ちに戻す目的で復元された。
  • パグ - アメリカン・ロージー・パグ(英:American Lo-Sze Pugg)、オールド・パグ(英:Old Pug)
    パグの原種はオールド・パグ(同スペル)、オールド・パグの原種がローツ(英:low-tsu)である。アメリカン・ロージー・パグはローツとオールド・パグを(ローツ味のほうが強い)、オールド・パグはその名の通りパグの原種をそのまま復刻させたものである。どちらもマズルのつぶれ具合が少なくなり、脚も長めである。主に呼吸器関連の疾患や軟口蓋過長症にかかるリスクを減らす目的で作出された。
    アメリカン・ロージー・パグは既に固定されているが、オールド・パグはまだまだ発展途上中である。
  • ブリュッセル・グリフォン - オールド・ブリュッセル・グリフォン(英:Old Bruxellois Griffon)
    ブリュッセル・グリフォンは、ブルドッグに次いで遺伝的疾患が多く、ブリーディングの際のリスクに至ってはそれを上回るともいわれる。このブリーディングのリスクと遺伝的な疾患を軽減する目的で作出された。マズルのつぶれ具合や体格が改良されたものであるが、まだ発展途上中の犬種である。
  • ペキニーズ - オールド・ペキニーズ(英:Olde Pekinese)
    現在のペキニーズはずんぐりした体格の犬種であるが、実はもともとやや細身でチベタン・スパニエルにとても近い犬種だった。この原種の姿を復元し、呼吸器関連の疾患や体格がもとでかかりやすい病気のリスクを減らす目的で、アメリカで作出が計画されている。
  • ボストン・テリア - オールド・ボストン・ブルドッグ(英:Olde Boston Bulldogge)
    かつて闘犬として使われていたボストン・テリアの原種、ボストン・ブルドッグ(英:Boston Bulldog)の姿を復元して、遺伝的にかかりやすい病気や高確率で帝王切開の必要なブリーディングを解消することを目的として作出された。マズルのつぶれ具合が減り、サイズが大きく脚が長く、頭部は少し小さめになった。姿は復元したが、ボストン・ブルドッグの獰猛な性格は復刻させず、ボストン・テリア本来の温和な性格はそのまま残されることとなった。
  • オランダの小型スパニエル犬(犬種名不詳) - マルキースィエ(英:Markiesje)
    もとは猟犬として使われ、後に貴婦人の愛玩犬としてオランダで人気を博した黒いスパニエル犬を復刻させたものである。容姿の復元だけでなく、健康面については残されている資料を参考に、更に丈夫な犬種になるように改良が加えられた。厳密に言えば、これはオールドタイプ犬種とはちょっと違ったものであるともいえる。
  • ミニチュア・ブルドッグ - ミニチュア・ブルドッグ(英:Minature Bulldogge)
    ミニチュア・ブルドッグは、牛いじめの禁止を受けて、オールド・イングリッシュ・ブルドッグを小型化して作出した愛玩犬種である。これは現在のイングリッシュ・ブルドッグの兄貴分に当たる古い犬種であったが、現在は絶滅してしまった。この犬種の血を現在も受け継ぐフレンチ・ブルドッグをベースにして交配を行い、復刻された。オールド・イングリッシュ・ブルドッグの姿をした小型の犬で、単にイングリッシュ・ブルドッグを小型化した犬種ではない。尚、復刻版の方はオリジナルの方とはスペルが微妙に異なっている。
  • ジャーマン・シェパード・ドッグ - シャイロ・シェパード(英:Shiloh Shepherd)、アルサティアン・シェパルト(英:Alsatian Shepalute)
    いずれもジャーマン・シェパード・ドッグの”昔の姿”を復元し、ペットやショードッグとしても使われるようになってから失われた、若しくは縮小されてしまったとされる健康面や容姿、メンタル面を再現する目的で作出された。シャイロはジャーマン・シェパード・ドッグが原産国で牧羊犬として使われていた頃の姿を、アルサティアンは19世紀に軍用犬として改良され、アルサシアン・シェパードと呼ばれていた頃の姿をそれぞれ再現している。シャイロは既に完成しているが、アルサティアンはまだ最終固定の調整中である。
    尚、ジャーマン・シェパード・ドッグは犬の品種の中でも最も優秀な能力を持っているものの一つであるため、このような”昔の姿”の復刻版だけでなく様々な目的のために開発された派生種も多く存在していることで有名である(イースト・ヨーロピアン・シェパード、キング・シェパード、シェパードゥードルなど)。
    厳密に言うとオールド・ジャーマン・シェパード・ドッグという犬種は、ジャーマン・シェパード・ドッグの原種ではない。この犬種の詳細は、オールド・ジャーマン・シェパード・ドッグの項目を参照。

オールドタイプ犬種の課題

様々な面で注目されているこの犬種群であるが、いくつかの課題点が残されている。その一つは完全に原種の姿に戻すことにより起こる諸問題である。ショードッグとしての改良は犬の健康に悪影響を植えつけただけであるというわけではなく、良い特徴を伸ばしたり、気性を和らげるといった良い影響を与えている場合も多い。そのため、完全に原種に戻してしまうことでこの良い影響まで取り除いてしまい、却って犬質が悪化してしまうというリスクも高い。このため、現在のオールドタイプ犬種の大半は、現代の犬種本来の良いところを残しつつ原種へ戻す方針で改良・作出が行われている。
擁護者は多いが、その一方で現在の犬種の愛好家からは強く非難されている種類もある(例:ビクトリアン・ブルドッグオールド・パグなど)。その理由は主に外見を大きく変えてしまうことにより、その犬種独自の魅力が半減することなどで、このため、中には現代の犬種と原種の中間型といったオールドタイプ犬種も作出されている(例:アーカンソー・ジャイアント・ブルドッグなど。)。
どれほどこのブームが続くかは定かではないが、これを機に種としての犬の健康がはっきりと見直されるようになったという点は、今後犬種暦学の中でも大きなターンニングポイントとして捉えられるようになる事は間違いないとされている。

参考文献

  • 『デズモンド・モリスの犬種事典』デズモンド・モリス著書、福山英也、大木卓訳 誠文堂新光社、2007年
  • 『日本と世界の愛犬図鑑2010』(辰巳出版)藤原尚太郎編・著

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