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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 削除記録 - Wikipedia の復刻版

チワックス(英:Chihuachs)は、チワワとダックスフントの一世代交雑種、あるいは二重純血犬種の愛玩犬である。アメリカやイギリスなどの英語圏の国ではチワックスフント(英:Chihuachshund)の名でも呼ばれている。


概念

近年起こった雑種犬ブームにより作出が開始されたもののひとつで、通常はオスのチワワとメスのダックスフントを交雑させたF1(一世代交雑)犬である。時に逆の組み合わせ(オス:ダックス×メス:チワワ)のものも見られるが、メス側がチワワであると交配の時にダックスフントの長い体と体重を支えきれないことや、チワワは一腹で生まれる仔犬の数が平均1〜3頭(通常単子)と少ないため、この組み合わせで行われることは少ない。
大きな作出の意図が無く、この組み合わせの交配により起こる遺伝的疾患などを考慮させずに生み出される犬として有名なもののひとつでもある。いわゆる「デザイナー・ドッグ」の一種にもあたる。
日本に於いてチワワとダックスフントは国内登録頭数順位が常にベスト3に入るほど頭数が多い犬種であるため、他の雑種犬に比べて作出数が多い傾向にある。頭数だけでなく人気も知名度も非常に高いため、セールポイントが多いという点も作出数の増加に影響している。
アメリカ合衆国ではチワックスを健全に二重純血犬種として固定するための計画が立てられていたが、両親種の愛好家の猛反発を受け、作出途中で作業は中止となっている。
イギリスではチワックスは単なる雑種の一種として位置づけられており、日本やアメリカのように爆発的なブームは起こっていない。

問題点

体格上の問題

体格上の問題点として著名な点は、足腰にかかる負担である。ダックスフントの長い胴をチワワの細く折れやすい傾向にある脚が支える傾向にあるため、足腰を痛めやすく、椎間板ヘルニアやその他の脊髄疾患や、関節や靭帯を痛めたり、加齢により骨折するリスクが非常に高くなる。また、これに加えて脚が短い場合、歩行困難などのさらに深刻な問題が発生することもある。
胴がそれほど長くなく、容姿がチワワに近いとしても、チワワとダックスフントが互いにかかりやすい疾患が現れやすくなる。同じ弱点(かかりやすい疾患)を持つ異犬種を掛け合わせると、共通の疾患が表面化しやすいためである。
使役犬の交雑や二重純血犬種の作出の際、通常は両親種が遺伝的にかかりやすい病気が無いか考慮して考案し、交配前検診を経てから作出を行うが、ブームに乗って作出された愛玩用の二重純血犬種や交雑種の多くはそのことを考慮せずに交配させ、チワックスのように互いの特徴を弱めあってしまうようなよくない組み合わせの犬を作ってしまうということも多く起こっている。

パピー・ミルの現状

チワックス誕生の裏には、利潤目的に繁殖を行う生産家であるパピー・ミルの影が見え隠れしている。パピー・ミルは日本語に訳すと「仔犬工場」或いは「仔犬生産所」を意味し、親犬と仔犬の健康、更に仔犬の購入者のことを考えず、利潤を目的とした過剰繁殖や乱繁殖を行う「繁殖家」のことである。雑種犬だけではなく、純血の犬種もパピーミルにブリードされている場合がある。
なお、パピー・ミルの生産者は資格を所持していても、「ブリーダー」と呼ぶことは出来ない。これはそもそも「ブリーダー」というのは純血を健全に保存していくために存在するものであるためである。ゆえに雑種を生産して販売したり、ちゃんとした繁殖を行っていない者をブリーダーとして呼べないのである。
人気の犬種ほどその傾向にあり、中には偽装の血統書をつけて雑種を純血犬として偽って販売したり、保健所から入手した純血と思われる犬を繁殖用の犬として用いるといったケースも多発している。パピー・ミルで繁殖用として飼育されている犬は数頭がひとつのケージの中に押し込められ、散歩はおろか繁殖させるとき以外はケージの外に出されることは無い。単独でケージに入れられているとしてもその衛生環境は劣悪で、背骨が変形し、皮膚病を患って毛が抜け落ちてしまったり、長らくケージに入れられていることで脚の関節が固まって立てなくなってしまうことも少なくない。
また、ここまで劣悪な環境で無いとしても、ケージに長期間入れられたままの状態にされているため、ストレスの量は計り知れない。えさは少量しか与えられず、小さな犬を産ませるために故意に発育障害や成長不全を起こさせることも多い。
さらに、通常のブリーダーは特定の年齢や出産回数(犬種によって異なる)で繁殖犬を引退させ、リタイア犬として里親を探して譲渡を行ったり飼育を継続するが、パピー・ミルでは繁殖できる限り繁殖を継続させ、繁殖できなくなると用無しとして山中などに棄てられたり、保健所に持ち込まれてしまう。
チワックスの大半もそのようなパピー・ミルで繁殖されており、それ故に健康的な問題が起こる確率も高くなってしまっているのが現状である。

素人繁殖とチワックス

また、繁殖に関する知識のない一般家庭での交配・作出もチワックスをはじめとする雑種犬の先天的疾患をさらに悪化させることにつながっていると知る者は少ない。ただ単に愛犬の子供が欲しかったり、どんな犬が生まれるか興味本位で何も考えずに繁殖させることで疾患を持つ犬が生まれやすくなったり、場合によっては母子共に危険な状態になりかねない。更に、生まれた仔犬を飼いきれないと棄てたり保健所に持ち込むということも多発しており、大問題となっている。
もともとダックスフントもチワワも体格上の問題から素人による繁殖は禁忌とされているが、ダックスフントは小型犬と分類されている人気の犬としては珍しく多産なことから、チワワは体が小さいため飼育が容易で多頭飼育がしやすいことから、それぞれ素人繁殖が頻繁に行われており、繁殖を助長させる要因になっている。
チワックスは一般家庭での繁殖をさせるべきではないが、もし誤って交配してしまった場合には、出産・育児・飼育は獣医師に助言を受けた上で行うことが不可欠である。

繁殖について

先にも述べたが、一般家庭でのチワックスの作出、及びそのさらなる繁殖は好ましくなく、知識が無い人は絶対に避けるべきである。遺伝的疾患を持った犬を生ませることを予防するだけでなく、生まれすぎて保健所に持ち込まれてしまう犬をこれ以上増やさないためにも、安易な素人繁殖は慎むべきである。
勧めはしないが、もし作出・さらなる繁殖をするのであれば、何が起きても自分で責任を持つということを完全に自覚しなければならない。通常ペットとして出回っている犬は繁殖に適していない犬も多く、交配させても流産や死産などで無事に仔犬が産まれなかったり、難産がおきて母子共に死亡したり、さらには障害を持った犬も生まれてくるというリスクを常に背負っているためである。いかなることが起きても、難病を抱えた犬が生まれても、沢山の犬が生まれて全てもらい手がつかなかったとしても、全ての犬を責任もって生涯飼育するという覚悟が無ければ繁殖を諦めるべきである。
また、繁殖の際には繁殖に関する知識を十分につけておく必要がある。加えて、両親となる犬を交配前に動物病院で検査をしてもらう必要もある。このように、交配前に両親が疾患や不具合を持っていないか獣医師に調べてもらう検査のことを交配前診断という。交配前診断で不具合が見つからなかった場合は交配を行えるが、不具合が発見された場合は交配は出来ない。
なお、ダックスフントの一腹の仔犬は3〜6頭、チワックスの一腹の仔犬は1〜6頭程度である。

特徴

チワックスは一世代交雑の犬がほとんどであるため容姿にはばらつきが見られるが、通常はダックスフントの胴、チワワの顔(あるいは頭)と脚を持つ。血の引く具合によっては外見がほとんど片親寄りであるということもある。耳は垂れやすいが、立つものや半立ちになるものもいる。コートの長さは両親に準じ、両親のコートの長さが異なる(ロングorワイアー×スムース)場合、理論上ではスムースの犬が生まれやすくなる。性格は枚挙に暇が無いほどばらつきを生じ、十匹十色である。

その他

今日の状況

チワックスは解剖学や犬種暦学上では非常に問題の多い犬であるが、ペットとして飼われているものの中には問題をめったに起こすことなく生活をしている犬も少なくない。これはチワックスという雑種犬のリスクや性質を十分に理解したうえで購入・飼育を行う飼い主が年々増えつつあるためである。衝動買いは避け、気に入った犬を見つけた場合もまずその犬についての特性などを調べた上で家庭へ迎え入れる飼い主が増えたため、安易に購入して問題を起こしたり、疾患がありそうな犬の購入は避けたり、扱いきれなくなって遺棄される犬はそれと比例して減少している。

飼育上の注意

チワックスを健康に長生きさせるには、他犬種と同様にたくさんの愛情をかけてまめな世話をすることや、できれば年に一度は健康診断を行うこと、去勢・避妊を行うことなどが必要である。
この他、体重の管理も重要である。肥満対策は足腰に負担をかけさせないだけではなく、その他の内臓疾患や糖尿病などを予防するといった効果もあり、健康に長生きさせる上で不可欠である。
適度な散歩は他犬種同様に毎日行うべきであるが、運動のしすぎにも注意したい。個体にもよるが、1時間を越える運動はかえって足腰の負担になってしまう。
胴の長い個体はダックスフントと同様に、片手で胸を、もう片手で腰を抱えて抱く必要がある。胸だけを抱えて腰を垂らすような抱き方をすると腰に負担がかかり、椎間板ヘルニアにかかる危険性が高まってしまう。椎間板ヘルニアは下半身不随に進行することもあるので、特に注意が必要である。
体が小さいため、ベルクマンの法則により体が冷えやすい。防寒性が低いので冬季の散歩の際には洋服を着せて保温することが望ましい。

チワックスの長所

チワックスの長所は小柄で飼育しやすいという点などがある。また、チワワの大きな目とタックスフントの長い胴が愛らしいという愛好家もいる。
通常遺伝的疾患が非常に現れやすいが、時に両親のいい点のみを受け継いでいる優秀な犬もおり、雑種化矯正により丈夫で病気にかかりにくい個体もいる。また、チワワは多少わがままでしつけを受けにくいこともあるが、ダックスフントの血により落ち着きなどが付加され、それよりもしつけやすいという長所も持っている。

参考文献・サイト

  • 『デズモンド・モリスの犬種事典』デズモンド・モリス著書、福山英也、大木卓訳 誠文堂新光社、2007年- 雑種犬の参考として使用
  • en:Dog hybrid - 交雑種について、チワックスフントという名称についてを参照
  • en:Puppy mill - パピー・ミルの現状などについて参照

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