難易度には、表現や解釈の難易度も含まれ、本欄でピアノ曲とは、19世紀以降については、ピアノのためにのみ作曲された作品のことを指すが、それ以前の作品の場合は、チェンバロやオルガンなど、元来別の鍵盤楽器ために作曲された作品のうち、そのままのかたちで、あるいは後世の編曲によって、現在は一般的にピアノ曲と認識されている作品も含める。あくまでもピアノ業界を唸らせた作品に限られている。(この他は
難曲の歴史、
演奏不可能の作品を参照のこと。)
これらのように、ピアノ曲に「転用」された初期鍵盤楽器のための作品は、演奏技巧上の要求だけでなく、それらの楽器とピアノの構造や形状・性能の違いから、ピアノによる演奏が高度に難しくなる例がある。たとえばチェンバロ作品においては、当時の2段鍵盤式チェンバロを意識して作曲された作品の場合が特にそうである。
また、もともとピアノのために作曲された曲の場合では、譜面が視覚的に複雑なために、実際以上に難しく見える作品や、あるいはいっそう演奏に困難をともなう作品がある。戦後前衛の時代になってこの問題が一層表面化したが、これを松平頼暁氏は「新たなタイプのヴァーチュオシティー」と形容した。
なお演奏技術が格段に進んだ現在、以下の曲の中にはさほど技巧的には難しくないとされる作品も含まれている。