古くから会津地方(旧会津藩)で育成されてきたマタギ犬である。詳しい原産に関しては不明であるが、同じ東北地方を原産とする岩手県の岩手犬、宮城県仙台市の
仙台犬、山形県の高安犬とはなんらかの親戚関係にあるのではないかといわれている。
主にクマやタヌキ、イノシシなどを狩るのに用いられた。パックで獲物の臭いを追跡し、発見すると自ら飛び掛って仕留めていた。猟銃が会津に導入された後は噛み留めまでが仕事となり、止めを刺すのは主人の役割になった。
かつて原産地では普遍的でありふれた犬種で、会津藩士から農民までさまざまな人がマタギ犬・番犬・ペットとして飼育していた。しかし、原産地外にその名が知られるようになったのは昭和に入ってからである。
昭和になると日本各地の日本犬(地犬)を飼育することがブームとなり、このころ会津外で本種のことが知られるようになった。しかし、皮肉にもこのことが会津犬を絶滅に陥れるきっかけとなってしまった。利潤目当てに都心から即席ブリーダーが会津犬を高値で購入し、血統のよいものや優秀なものが全て流出してしまったため、原産地ではいいものが残らなかった。これによりブーム終焉と時を同じくして絶滅してしまった。
現在、純血の会津犬は存在しないと見られているが、まだわずかにその血を引く和系犬がいる可能性があるといわれている。しかし、今日の会津では猟犬として北海道犬や紀州犬、甲斐犬といった他地域の日本犬が用いられていることから、既に和系犬も絶滅していると視る専門家は多い。